Ⅰ 事件概要
職員は産前産後休業を取得した後、1年間の育児短時間勤務制度を利用。しかし会社は、「賞与支給対象期間の90%以上勤務しなければ賞与を支給しない」とする条項を適用し、年末賞与および夏期賞与を全額不支給とした。
これに対し職員は、労働基準法や育児・介護休業法に反するとして賞与の支払いを求めた。
Ⅱ 今回の争点
産前産後休業日数や育児短時間勤務を欠勤として扱い、90%以上出勤要件に該当しないとして賞与を不支給とすることはできるか。
Ⅲ 判決内容
東京高裁は、産前産後休業日数を出勤率計算上不利に扱い、90%条項により賞与を全額不支給とすることは、労働者の産前産後休業等を取得する権利を事実上抑制するものとして、労基法65条(産前産後休業)、育児・介護休業法10条(不利益取扱いの禁止)の趣旨に反し支給が必要である判断しました。
しかし、賞与を勤務実績に応じて一部減額する制度自体は違法ではなく、必要性・合理性が認められる限り有効であると示しました。
Ⅳ 労務管理上のポイント
会社は、出産や育児に関する制度を利用した労働者が不利益を受けないよう注意する必要があります。
特に賞与の支給条件や減額ルールを設ける場合は、対象者や計算方法を明確にし、対象となる場合は休業前に面談などで説明をすることでトラブル防止につながります。
そのためにも就業規則や賃金制度は定期的に見直し、法令に沿った運用を徹底しましょう。
事件番号:平成15(ネ)6154
出典:労働判例917号40頁/労経速報1938号3頁
